オーバードライブをオンにすると「サー」「ジー」という音が増えることがあります。多少のノイズは、信号を増幅して歪ませる機材の性質上避けにくいものです。しかし、弾いていないときにも大きく聞こえるなら、設定や接続を見直す余地があります。
重要なのは、いきなりノイズサプレッサーを買うことではありません。まずギター → アンプの最小構成へ戻し、ペダル、ケーブル、電源を1つずつ追加すれば、原因を切り分けられます。
最初に知っておきたい:歪ませるほどノイズは増える
オーバードライブはギターの信号を増幅し、波形を歪ませます。そのため、ピックアップやケーブルが拾った小さなノイズも一緒に大きくなります。DRIVEを上げ、さらにアンプGAINも上げると、2段階で増幅されます。
「ペダルをオンにすると完全に無音ではない」だけなら、必ずしも故障ではありません。一方、演奏を邪魔する大きなハム音、触ると変化するジー音、突然のガリ音は、原因を確認すべき症状です。
ノイズの原因を見つける7ステップ
1. ギターとアンプを直接つなぐ
すべてのエフェクターを外し、ギターからアンプへ1本のシールドで接続します。この状態で大きなノイズがあるなら、オーバードライブ以外に原因がある可能性が高いです。
ギターのVOLUMEをゼロにしてノイズが減るかも確認します。減る場合は、ピックアップやギターからペダルまでの区間で拾っている可能性があります。
2. アンプのGAINと音量を下げる
アンプGAINを高くしすぎていないか確認します。自宅では、音量を出せない分だけGAINを上げ、歪みの密度を補おうとしがちです。しかし、GAINを上げすぎるとノイズも増えます。
アンプを軽く歪む手前にし、ペダル側のDRIVEを9〜11時から試してください。小音量向けの調整順は自宅・小音量で音が細いときの設定で詳しく説明しています。
3. オーバードライブを1台だけ追加する
ギター → オーバードライブ → アンプにします。ほかのペダルはまだ接続しません。これでノイズが急に増えるなら、ペダル設定、電源、2本のケーブルのどれかへ範囲を絞れます。
DRIVEを最小付近、LEVELをオフ時と同程度の音量へ合わせます。そこからDRIVEを少しずつ上げ、どの位置で問題になるか確認してください。
4. ケーブルを1本ずつ交換する
ケーブルの不良は見た目だけでは判断できません。プラグ付近を動かすとガリ音や音切れが出る場合は疑うべきです。ギター側とアンプ側を同時に交換せず、1本ずつ既知の正常品へ交換します。
複数のペダルを使う場合、短いパッチケーブルも1本ずつ確認してください。接続順の整理は初心者向けエフェクター接続順を参照できます。
5. 電池とACアダプターを比べる
対応する9V電池で動かせるペダルなら、いったん電池で確認すると電源由来のノイズを切り分けやすくなります。電池で静かになり、ACアダプターでノイズが出るなら、アダプターの仕様、容量、分岐方法を確認します。
電圧、極性、必要電流が合わない電源は使わないでください。BOSSのサポート情報も、指定アダプターの使用と、複数台へ給電する際に合計消費電流が供給能力を超えないことを案内しています。
6. 電源機器や照明から離す
ACアダプター、電源タップ、パソコン、ディスプレイ、照明、充電器などはノイズ源になることがあります。ギターやペダルの信号ケーブルと電源ケーブルを束ねず、少し離して配置します。
向きや距離を変えたときにノイズが変わるなら、電磁的な影響を受けている可能性があります。別の部屋や別のコンセントで一度だけ試すと、機材購入前の切り分けになります。
7. ペダルを1台ずつ戻す
オーバードライブ1台で問題がなければ、次のペダルを追加します。1台追加するたびにオン・オフを確認してください。全部を一度に戻すと、原因の機材やケーブルが分からなくなります。
症状別の原因と対処
| 症状 | 考えやすい原因 | 最初に試すこと |
|---|---|---|
| サーという音 | GAINやDRIVEが高い | アンプGAIN、次にペダルDRIVEを下げる |
| ジー/ブーン | 電源、周辺機器、ピックアップ | 電池動作と最小構成で比較する |
| ガリガリする | ケーブル、端子、つまみ | ケーブルを1本ずつ交換する |
| 音が途切れる | プラグ、電池、電源容量 | 差し直しと単体動作を確認する |
| ブースト時だけ急増 | 前段と後段のGAIN過多 | 後段GAINと前段DRIVEを下げる |
ブースター使用時にノイズが増える場合
DRIVEを下げてもLEVELを高くすると、後段のアンプや歪みペダルへ強い信号が入ります。後段のGAINが高ければ、ノイズも目立ちやすくなります。
ブースター側だけでなく、後段GAINを少し下げてください。必要なサステインを残しながら、2台の合計GAINを減らすのがコツです。詳しい設定はオーバードライブをブースターとして使う方法をご覧ください。
ノイズサプレッサーは最後に検討する
ノイズサプレッサーは、弾いていないときのノイズを抑えるのに有効です。しかし、原因となる電源やケーブルの不具合を修理する機材ではありません。
しきい値を高くしすぎると、弱く弾いた音や伸びている音まで途中で切れます。Rolandのサポート情報でも、ノイズサプレッサーを不要に高く設定すると、弱い音が聞こえなくなる可能性が案内されています。最小構成で異常がないことを確認してから、低い設定から足してください。
故障を疑う目安
- 正常な電池とケーブルを使い、ペダル1台でも大きな異音が出る
- つまみやフットスイッチに触れると激しい音切れが続く
- 焦げたにおい、異常な発熱、液漏れがある
- 正しい電源でも動作が不安定
発熱や焦げたにおいがある場合は使用を中止してください。分解せず、販売店またはメーカーサポートへ相談します。
ノイズ対策の前提となる歪み量・音量・TONEの基本設定は「オーバードライブとは?初心者向けの使い方・設定・選び方」でまとめています。
まとめ:買い足す前に最小構成へ戻す
オーバードライブのノイズ対策で最も効果的なのは、機材を増やすことではなく、ギターとアンプだけの状態から1つずつ戻すことです。
アンプGAIN、ペダルDRIVE、ケーブル、電池/アダプター、周辺機器の順に確認してください。原因が残ったままノイズサプレッサーだけを強くすると、演奏の余韻まで失うことがあります。

